悠弥は、中学二年生。最近幼馴染のナオヤが、自分のことを馬鹿にしていると感じていました。
そこで、なんとか、彼に「すごい」と言ってもらおうと勝負を挑みます。
選んだ勝負は「しりとり」しかし、ここ一番に弱い悠弥はあえなく敗退。二回戦は、「黒ひげ危機一髪ゲーム」。これには勝利するものの、「こんなんで負けても全然悔しくない」というナオヤの言葉に発奮した悠弥は、相手の得意とするテニスで勝負を挑みます。
実はナオヤは馬鹿にしているわけではないのです。部活も一カ月で辞める。勉強も頑張るわけでもなく、中途半端に毎日を過ごす悠弥が歯がゆかったのです。
テニス歴七年とド素人では、まともにやったら、勝負にならないので、一球でも、悠弥がサーブを打ち返し、それをナオヤがミスしたら、勝ちという特別ルールで始めました。
案の定、ボールはラケットにかすりもしませんが、100球を越えたあたりから当たり出し、やっていくうちに相手コートにも返せるようになります。ナオヤも力こそ抜きませんが、「もっと左に」「もっと膝曲げて!」「声出して!!」と懸命に指示をだしながら、勝負に付き合ってくれます。
そして、371球目、悠弥の返した球がネット際に落ち、それをナオトがアウトしてしまい、勝負はつきました。「見直しました。すごいと思います」と勝利を讃えるナオトは、明日から、やる気を取り戻してくれるだろうと、幼馴染みに期待するのでした。