いたずら好きの先輩は、後輩が忘れて行った携帯のメモリーに入っていた名前を、全員、歴史上の人物に変えました。

「あいつ怒って、電話掛けてくるぞ～」と先輩はほくそ笑んでいましたが、いっこうにかかってきません。「そうだ、自分の名前も中大兄皇子に変えてたんだ」どうやら、かけたくても、どれが先輩かわからないようです。

数日後、後輩に会うと、「朝から、大塩平八郎から、再三電話がかかってくるし、昨晩は、千利休から飲み会誘われるし、先輩いい加減にしてくださいよー！」と、かなり困惑してました。

こんなことがあるので、メモリーはバックアップしておいた方がよさそうです。いつ何時、直江兼続から電話がかかってくるか、わかりませんから‥

セリーグ時代ホームラン王まで昇りつめた山崎選手は、晩年は苦難が続き、オリックスを解雇され、ボロボロの状態で楽天にやってきます。
しかし、野村監督と出会ったことで、野球観が変わります。それまでは、天性の才能を武器に野武士のように我が道を貫いていましたが、相手の配球の癖を観察することを覚えます。

すると、かつてのようにホームランを連発、野球の面白さに気付いたことで、ベテランとしてチームに何ができるかも考えるようになるのです。不甲斐ないプレーをした選手を監督より、先にベンチで叱りつけます。また、叱る以上は自分も手本にならなくてはなりません。練習態度、次の塁への全力疾走‥彼の姿勢は、チームに浸透していきました。

寄せ集めの集団だったチームに芯ができたことで、チームは快進撃を重ね、見事クライマックスシリーズ第二ステージ進出を勝ち取りました。

今季限りで退団する野村監督は「人は残せた」とチームにできた財産を自負していました。

あとは、監督の胴上げです。

沖縄にあるタトゥーショップの、お客はほとんどが米軍兵です。昨今は漢字ブームらしく、肩や胸に「龍」や「虎」の文字を彫る人が増えています。

ある日、一人の米軍兵が店を訪れます。彼がオーダーした文字は、「台所」でした。それは、キッチンという意味だと言って、店主は思いとどまらせようとしますが、その字の面構えが気に入ったとかで、彼も譲りません。
結局、胸に台所の文字を刻んだのでした。

しばらくして、本土に住むタトゥーショップの店長の友人の所に、店長から写メが届きます。先日の「台所」の米兵が、また新しいタトゥーを入れたというのです。
写真には、筋骨隆々の腕を誇らしげに見せる彼が写っており、その腕には、「読書感想文」と刻まれていました。

価値観というものは、人それぞれ色々あるようです。

伊集院光さんがパーソナリティーを務めるラジオ番組に、一人のＡＤさんがいます。この人がちょっとトロい人で、かける曲を間違えたり、トーク中に別の音響を流すなど、いつも上司から怒られています。

ある日の番組終わり、伊集院さんが資料の整理をしていると、カッターで誤って指を切ってしまいます。かなり深く切ったらしく血が止まりません。血相を変えて飛び込んで来たＡＤさんに、「消毒液買って来て！！」と叫びます。

すると普段は見せない素早い動きで、スタジオを出て行きます。その頼もしい後姿に、伊集院さんは、少しウルッと来ます。「あいつ、いつもはボッ～としてるけど、ヤル時はヤル奴だな‥」

しばらくすると、汗だくのＡＤさんが戻ってきます。買ってきたのは、ショートケーキでした。

「しょうどくえき」と「しょーとけーき」聞き間違えも、ここまで来ると才能かもしれません。

ある書店に入ると、男性スタッフの方が、本棚を動かして大掛かりな模様替えをしていました。
これは、札幌で起きた本棚が倒れた事件を受けて、陳列の見直しをしてるんだと思い、対応の早さに感心していると、店内アナウンスが‥

「当店は、１０月〇日より、ゲームソフトの販売を始めます。現在中古のソフトの買い取りも行っておりますので、どうぞよろしくお願いします」

どうやら本の売り場を縮小して、ゲーム売り場を作っていたようです。活字離れは深刻かもしれません。