京太郎君のお父さんは、家電量販店に勤めているので、土日なかなか休めません。忙しい日々を過ごしている間に、すでに京太郎君は、小学校高学年になっていました。
最近気がかりなのは、京太郎君の変化です。覇気がなくなり、物事を途中で投げ出すことが増えています。
そこで、休暇を取って、京太郎君との親子二人旅を計画しました。旅の内容は、お父さんの以前暮らしていた町までの20kmを徒歩で行くというものです。
しぶしぶついて着た京太郎君ですが、二時間を過ぎたあたりから、グズリ出します。「暑いー」とか「疲れたー」とか不平を連発。あの手この手でなだめるお父さん、しかし残り5kmの所で、とうとう座り込んでしまいます。お父さんの問いかけにも返事もしません。都合が悪くなると黙り込むのは、お父さんそっくりです。
「じゃあ、もうやめて帰ろうか?」断念を提案すると、めったにないお父さんとの時間です。最後の力を振り絞って、歩くことを決意します。
そして、ようやく目標の海岸に到着。実に七時間半の二人旅でした。「どうだ、この海の景色を見たら、疲れなんか吹っ飛ぶだろう!!」久しぶりの故郷にテンションの上がるお父さん。それに対して、京太郎君は一言「足が痛い」
自分の子供時代そっくりだからこそ、気持ちがわかるので、なおさら心配なお父さん。これからたくさんの苦労が待っています。今日の経験が、それを乗り越える力になれば‥と思うお父さんでした。