ある女優さんは、脚本家や監督の意図を充分理解し、作り手が、期待する演技を、期待通りに演じ、そして作品も満足いくモノに出来上がります。
しかし、脚本家は、彼女に注文をつけます。「もっと自分の意見をぶつけてこい。それで撮影が延びても構わないから!」
以前、自分もあるお客さんから、似たようなことを言われたことがあります。「はい、はいお客の言うことばかり聞いているんじゃなく、違うと思うことは、ハッキリいうべき。時には客とケンカしたっていいんだ!」
言われた通りのことを確実にこなすことも、確かに大切ですが、それだけだと、ある程度、想定の範囲で終わってしまいます。
その脚本家も、その女優さんの実力を認め、更なる可能性を信じるからこそ、あえて苦言を呈したのでしょう。
そういう私も。ケンカはもちろん、相変わらずのイエスマンのままでした。あの時のお客さんの言葉を思い出し、ちょっとは煩がられる人にならなきゃと実感しました。