お客さんのSさんは、訪問すると、必ず茶の間にあげてくれて、お茶を用意してくれます。茶の間といっても、四畳半ぐらいのスペースに、台所、仏壇、冷蔵庫、テレビそしてコタツをたてているので、足の踏み場はありません。
お世辞にもきれいとは言えないその部屋で、「茶菓子でもないかなあ」とご主人があたりを物色。真っ黒になったバナナ、カビの生えた栗を発見したあと、せんべいを見つけます。「全部出すと湿気ると悪いから」と、お皿に数枚出してくれました。
一枚所望すると、すでに湿気ていました。
ここの家、こんな感じですが、客人が絶えません。ご主人の開け広げの性格が居心地がいいのか年中お茶飲み客でいっぱいです。
インターフォン越しにドアも開けてくれない所が増える昨今、ここの家だけは古き良き日本が残っています。