ホテルのロビーに現れたのは、スラッとした男性でした。彼が今日半日お世話になるタクシーの運転手さんです。無愛想なおじさんを予想していただけに、人懐こい笑顔に少し安心しました。
カランバカの名所である修道院は山の頂上の建てられ、そこから見下ろす町の景色は絶景です。しかしそこに辿り着くには、数百段の階段を登らなければなりません。ギリシアはとにかく坂や階段が多く、連日の登山に少々飽きていたので、いくつもある修道院も二つ目ぐらいで、もういいかなという気分になっていました。
とはいえ、今日の予定はこの修道院めぐりのみ、あとは夕方5時半の電車まで、どうやって時間をつぶすかが、今日の悩みでした。すると「何時の電車で帰るの?1時半?それとも5時半?」と尋ねる運転手さん。「えっ1時半があるの!ならそれに変更したい!」
これで悩みは解決。駅に行って変更の手続き、しかし片言の英語で、なかなか通じません。見かねた運転手さんが、変わりに手続きをしてくれました。「途中で乗り換えがあるから、気をつけてね」
異国の地で親切にしてもらうと、心にグっと突き刺さります。彼のおかげで無事アテネに戻ることができました。今にして思うと、お昼ぐらい御馳走すればよかったかな‥