日本の狼は絶滅しましたが、海外では、まだ生息が確認されています。イヌ科ですから、群れを組んで活動しますが、面白いのは、夫婦、子供の他に血縁関係の全くない、年老いた狼が加わっているのです。
その狼、勝手に群れに入ってきたらしく、狩りのときに、数がいた方が都合がいいので、とりあえず入れてもらっています。狼は自分の体重の五分の一の量の肉を食べます。ライオンが三十分の一ですから、いかにたくさん食べるかがわかります。それには、彼らの狩りの仕方に理由があるのです。
チーターのように走力を活かして、一気に捕まえるのでなく、ターゲットを定めると、付かず離れずの距離を保ちながら、半日もしくは、一日中ストーカーのようにつけ回し、相手が根負けしたところをガブッといくのです。そういう狩りなので、スタミナを維持するために、たくさん食べなくてはならないのです。
しかし、群れのボス以外は、あまり食べる権利がないので。若い子供は、独立を余儀なくされ、群れを離れます。これが、世にいう一匹狼です。その際、居候で肩身の狭かった老狼も付いてくるのです。若い狼は、彼から狩りの仕方を覚えます。空腹時は、家畜を襲い、魚釣りもします。肉にありつけないときは、ブドウも食べます。ちゃんとブドウ糖がエネルギー源になることも知っています。そして、過酷な二人旅を終えると、老狼は、役目を終えたかのように、死んでしまいます。
たくましく成長した若い狼は、伴侶を見つけると新しい群れを作るのです。というのが、海外の肉食系の話ですが、草食系が増えた日本では、狩りはもっぱら女性の仕事のようです。